株式やFXの世界では「カップウィズハンドル」というチャートパターンがありますが、見分け方や実践で使えるのか気になる方は多いでしょう。
チャートパターンには様々な種類がありますが、勝率を上げるためにひとつでも多くの種類を覚えておくことが大切です。
そこで本記事では「カップウィズハンドル」の特徴や、実戦でどのように活用できるのかについて解説します。
このページの目次
カップウィズハンドルとは?
カップウィズハンドルとは、コーヒーカップをイメージすればわかりやすいですが、カップに持ち手が付いたような形のことです。値動きの特徴は以下のとおりです。
②高値から一度価格が下落
③価格が再度上昇し高値で揉み合う
④揉み合いを経て最高値を一気に更新
カップウィズハンドルを提唱したのが、アメリカの投資家であるウィリアム・オニール氏で、株式投資のテクニカル分析をしている際に見つけたといわれています。
オニール氏は「成長株発掘法」でも有名であり、投資業界において絶大な影響力があることから、カップウィズハンドルの信頼性は高いといえるでしょう。
しかし、株式投資の世界で見つけたチャートパターンをFXで使えるのか疑問に感じる方も多いと思いますが、結論的には応用は可能です。
株式もFXも「同じチャートパターンは何度も発生する」と考えられており、それぞれの値動きには相関関係があることから、十分な検証をすることで実戦で使えるでしょう。
FXでの応用方法
実際にFXで応用することは可能と解説しましたが、実際にチャートを見ながら解説します。
これは過去のドル円チャートで、キレイにカップウィズハンドルが形成されていることが分かります。
高値をつけたあとに価格が下落し、再度上昇したあとに高値付近で揉み合い、最高値を更新した後は急上昇しています。
ここで注目すべきポイントは、なぜ価格が再上昇してきたのかという点です。その理由についてつぎに解説します。
転換点となるチャートパターンを知る
カップウィズハンドルが形成される条件として、価格が下落してから再上昇してくる必要があります。
そこで注目すべきなのが、カップとなる部分の再上昇しているポイントです。
拡大するとこのようなチャートが形成されており、このチャートパターンを「ダブルボトム」といいます。
ダブルボトムは下落から上昇に転換する際に形成されるチャートパターンで、ダブルボトムが形成されると再上昇する可能性が高まります。
下落から上昇に転換するチャートパターンには、以下のようなチャートパターンがあります。
ダブルボトム | 安値を二回つけて、高値更新から上昇に転じるチャートパターン |
トリプルボトム | 安値を三回つけて、高値更新から上昇に転じるチャートパターン |
逆三尊 | 安値→最安値→安値という順で山のような形をつくって、高値更新から上昇に転じるチャートパターン |
これらのチャートパターンが形成された場合は、上昇に転換する可能性があるため、売りポジションを保有している際は決済の検討をする必要があります。
逆カップウィズハンドルもある
カップウィズハンドルには、逆のパターンもあります。
きれいなカップウィズハンドルとは言いにくいかもしれませんが、チャートには毎回キレイに形成されることは少ないです。
そのため、チャートに形成されるローソク足の形なども参考に、今後の値動きを予想することが大切です。
逆のカップウィズハンドルでも、安値をつけて価格を上昇するも、再度下落に転じていますが、カップの部分に注目してください。
価格が下落するにあたって「ダブルトップ」が形成されていることが分かり、その勢いのまま安値を更新していることが分かります。
「上昇から下落に転換する」場合のチャートパターンは以下の3種類です。
ダブルトップ | 高値を二回つけて、安値更新から下落に転じるチャートパターン |
トリプルボトム | 高値を三回つけて、安値更新から下落に転じるチャートパターン |
逆三尊 | 高値→最高値→高値という順で山のような形をつくって、安値更新から下落に転じるチャートパターン |
これらのチャートパターンが形成された場合は、下落に転換する可能性があるため、売りポジションを保有している際は決済の検討をする必要があります。
カップウィズハンドルの見分け方
ここまでカップウィズハンドルの特徴などについて解説しましたが、実際にトレードする際は、様々なポイントを見て判断する必要があります。
特に意識すべきポイントは以下の5つです。
- トレンド相場になっている
- カップ部分がV字ではなくU字になっている
- ハンドル(持ち手)部分で揉み合っている
- 出来高が増えている
- 投資家心理が働く相場状況
これらのポイントについて、それぞれ解説します。
トレンド相場になっている
カップウィズハンドルは順張りで使用できるチャートパターンのため、トレンド相場が形成されていることが第一条件になります。
上昇トレンドにあるかどうかの判断は「移動平均線」が右肩上がりになっている必要があり、とくに傾きが大きいほどトレンドが強いといえます。
トレンド相場を確認する際は、一つ一つのローソク足を見るのではなく、大きな流れでどのように値動きしているかを見ましょう。
カップ部分がV字ではなくU字になっている
カップウィズハンドルの「カップ」の部分は、なるべく丸いU字になっていることが大切です。
V字とU字の違いに明確な定義はありませんが、価格が下落した際の揉み合いが長い場合はU字となりやすいです。
V字は下落したものの、ほぼ一直線で上昇してくるため、カップウィズハンドルとしての認定ができません。
下落したところで揉み合ってくれることで、上昇した際の勢いが強くなるため、U字ではなくV字になっていないか注意しましょう。
ハンドル(持ち手)部分で揉み合っている
カップが形成された後は、ハンドル部分で揉み合っているかが重要です。
ハンドル部分で揉み合っている際、下落幅が大きい場合は、逆に下落トレンドに転じる可能性があるため注意が必要です。
そのため、カップの底から高値までを100%とした場合、揉み合いの下落幅はカップの高値から30%程度までが限界でしょう。
この割合はあくまで目視での数値となるため、目視で30%が分かりにくい場合は「フィボナッチリトレースメント」を活用すると良いでしょう。
フィボナッチリトレースメントとは、安値から高値までを結んで、反発しやすいポイントを探す際に使用する描画ツールで、視覚的に30%の位置を表示することができます。
なお、フィボナッチリトレースメントで反発しやすい比率は「61.8%」「38.2%」といわれているため、カップウィズハンドルに限らず通常のトレードでも活かしてみてください。
出来高が増えている
カップウィズハンドルを見分ける際に「出来高」も非常に重要で、成立するためには出来高の増加が必須条件となります。
出来高とは、取引が活発に行われているかどうかを確認することができ、出来高が大きい場合は投資家の積極的な買いが入っている可能性が高いです。
出来高は上昇時に増え、下落時に減っていれば、上昇に対する潜在意識が強いということがわかります。
逆に下落時に出来高が増え、上昇時に減っていれば、今後は下落の勢いが強まる可能性が高いです。
これらのことから、正のカップウィズハンドルが形成される場合は上昇時に出来高が増えていることが必須となります。
そして、逆のカップウィズハンドルの場合は、下落時に出来高が増えていると可能性が高まるので、必ず出来高を意識して取引を検討しましょう。
価格が上昇しているにも関わらず出来高が少ない場合は、他の投資家は下落の流れを待っている可能性があり、ダマシとなる可能性があるのでご注意ください。
また、FXは基本的に英語表記が多いため「出来高」ではなく「Volume」と表現されていることが多いので、その点も併せてご注意ください。
投資家心理が働く相場状況
投資家はチャートを見るうえで、様々なチャートパターンを意識してみており、カップウィズハンドルも意識されているうちの一つです。
そのため、形成されそうな状況になれば、投資家は「カップウィズハンドルが形成されるのでは?」とトレードの準備に入ります。
そして、チャートの形や出来高を参考にエントリータイミングを検討し、実際に最高値を更新すると判断した場合、一気に世界中の投資家が取引を開始します。
全世界の投資家が注目しているからこそ、最高値更新後は急騰するわけです。
しかし、最高値を更新したからといって、そのあとに重要指標の発表が控えている場合は、様子見をする投資家が多いため出来高が増えにくいです。
このような投資家心理を利用して、今エントリーするのに適切かどうかを検討してください。
また、決済する際も価格の節目で決済される傾向にあるため、ポジションを持ったからおしまいではなく、持ってから決済するまでは集中してトレードを行いましょう。
まとめ
ここまで「カップウィズハンドル」の特徴や見分け方について解説してきました。
カップウィズハンドルは株式の世界で発見されたチャートパターンですが、FXでも十分に応用できます。
取引で実際に活用する際は、トレンド相場になっている点やカップ部分がU字になっている必要性など着目するポイントが多いです。