江戸時代の出羽国(今の山形県酒田市エリア)の出身である相場師、本間宗久によって生み出された「酒田五法」とは、株や他の金融商品の価格動向を分析する技術の一つです。この手法は、ローソク足の並びを基にして相場の動きを分析します。
ローソク足とは、株価や為替などの金融商品の価格変動を表すグラフで、個々の足(キャンドル)が時間単位で表示されます。酒田五法では、これらのローソク足の特定のパターンに注目します。
酒田五法には以下の五つの基本パターンがあります。
三兵(さんぺい)
三兵は、ローソク足のパターンの一つで、上昇トレンドが継続していることを示唆します。具体的には、連続した三つの小陽線(ローソク足の実体が比較的短く、上部の影が長い)が現れるパターンです。これは、買い意欲が高まり、価格が上昇し続ける可能性があることを示しています。
三空(さんくう)
三空は、下降トレンドが継続していることを示唆します。連続した三つの小陰線(ローソク足の実体が比較的短く、下部の影が長い)が現れるパターンです。これは、売り圧力が高まり、価格が下落し続ける可能性があることを示しています。
三川(さんせん)
三川は、上昇トレンドが終わり、転換点が近いことを示唆します。具体的には、小陽線、大陽線、小陽線の順番で現れるパターンです。最初の小陽線は上昇トレンドの継続を示していますが、大陽線の出現によって上昇力が弱まり、最後の小陽線で下降トレンドへの転換が予想されます。
三山(さんざん)
三山は、上昇トレンドの転換点が近いことを示唆します。連続した三つのピーク(高値)が形成されるパターンです。最初の山で上昇トレンドのピークが形成されますが、2つ目の山では前回のピークを上回らず、3つ目の山で下降トレンドへの転換が予想されます。
三法(さんぽう)
三法は、上昇トレンドから下降トレンドへの転換点が近いことを示唆します。具体的には、大陽線、大陰線、大陽線の順番で現れるパターンです。最初の大陽線は上昇トレンドの継続を示していますが、2つ目の大陰線の出現によって上昇力が弱まり、最後の大陽線で下降トレンドへの転換が予想されます。
これらの酒田五法は、ローソク足のパターンを観察することによって相場の転換点やトレンドの予測を試みるテクニカル分析の手法です。初心者の方でも、チャート上でこれらのパターンを探し出すことができれば、相場の変動やトレンドの転換について一定の参考となる可能性があります。
ただし、テクニカル分析は過去の価格データを基にして予測を行う手法であるため、必ずしも正確な予測を行えるわけではありません。相場は多くの要因に影響を受けるため、他の分析手法や情報との組み合わせやリスク管理も重要です。
投資やトレードにおいては、リスク管理や基本的な知識の習得も重要ですので、初心者の方は十分な学習と情報収集を行い、専門家のアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。